大判例

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東京高等裁判所 昭和46年(う)3189号 判決

被告人 シー・エー・アブドル・レーマン

〔抄 録〕

所論は、起訴状記載の第一および第二の事実は、近接する時間および空間において、継続する意思にもとづき同一被害法益に向けて同一態様で行なわれた同一構成要件に該当する行為であるから、包括一罪として処断されるべき典型的な事例である。しかるに、右両事実を併合罪として処断した原判決には、判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の適用を誤った違法があるという旨の主張である。

しかし、原判決挙示の関係証拠を総合すれば、被告人は、かねて原判示貨物船ジャガド・ネタ号の倉庫内に隠匿していた二三五・三グラムのあへんを販売しようと考え、見本として一・三グラムを小分けし、これと残りの二三四グラムとの二個に分割し、(一)、昭和四六年四月一五日午後一時すぎころ、右貨物船ジャガド・ネタ号の船室内において、机の中に所持していた右小分けした一・三グラムのあへんを取り出し、これを見本として本部喜夫に交付し、(二)、同日午後六時一〇分ころ、原判示日立造船所で門前付近路上において、本部喜夫に販売する目的をもって、右貨物船の倉庫から持ち出した二三四グラムのあへんを所持していたことを認めることができる。以上のような事実関係のもとにおいて右(一)、(二)の各犯行の日時、場所が近接しているにしても、前示のように二個に分割されたものの一部である右(一)のあへん一・三グラムを見本として本部喜夫に交付したことによって、この部分の被告人の所持は残りの二三四グラムとは独立したものとなり、次いで右本部に交付したことによって、被告人の所持が消滅したと見るべきであるから、右(一)のあへんの交付後も留保されていた右(二)のあへん二三四グラムの所持と右(一)のあへん一・三グラムの所持とは別個独立の犯罪を構成するものと解するのが相当である。したがって、被告人の原判示第一および第二の各所為を併合罪として処断した原判決には、所論のような法令の適用を誤った違法はない。

(真野 吉川 綿引)

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